「奇跡を聞かせてあげる」
鏡子さんは、そう言った。

奇跡の舞台は「随願寺」というらしい。
有名な真木大堂は馬城山伝乗寺の名残りだが、その随願寺も伝乗寺の末寺であったという。

寺が、本尊を残して消えたあとも、脈々と人々の心に受け継がれた。

鏡子さんは、ある時、路傍のお地蔵さんのお世話をしていた婦人に会った。
そのお地蔵様は、実は、かつての名刹(めいさつ)の本尊であった。

そして、彼女が、夫の「遺志」を実現させたのは、しばらくしてのことだった。

「会ったのは、それが最初で最後。その時は詳しい話はしなかった。でも……」

鏡子さんが次に訪れた時には、そこに、小さいながらも立派なお堂が建っていた。亡き夫の悲願であり遺志であったのは、随願寺の再興──

途絶えかにみえた信仰。
いや、途絶えてなかった。
平成になって、市井(しせい)の夫婦がよみがえらせた。

「そして、私は、その“時”に立ち会った。
奇跡よね」

ならば、行きましょう。そこへ。

信仰とは何か。

その答えがあるかもしれませんから。
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